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2025年日本哺乳類学会各賞受賞者

日本哺乳類学会特別賞

 日本哺乳類学会特別賞の規定に基づき,2025年度の特別賞に関して候補者の推薦募集を行ったところ,河合久仁子会員から 1 件の推薦があり,理事会へ審議を依頼した.理事会において十分な審議を行ったのち,無記名投票を行った結果,前田喜四雄会員への 2025年度日本哺乳類学会特別賞の授与が決定しました.

前田喜四雄(奈良教育大学名誉教授)
受賞の経緯

日本哺乳類学会賞(第18回)

 日本哺乳類学会賞規定に基づき,「哺乳類科学」誌面および学会ホームページを通じて2025年度の学会賞候補者を募集したところ,1件の推薦がありました.選考委員会は提出された推薦理由書をもとに審議を行った結果,この1名を学会賞受賞候補者として理事会に推薦することを決定しました.理事による無記名投票の結果,佐藤淳会員への第18回(2025年度)日本哺乳類学会書の授与が決定しました.

佐藤 淳(福山大学)
「哺乳類の分子系統・進化・生態に関する統合的研究の推進」
受賞の経緯

日本哺乳類学会功労賞(第12回)

 第12回日本哺乳類学会功労賞について,2025年3月末までに3件の推薦があり,日本哺乳類学会功労賞規定に基づき3名の選考委員会による選考の結果,以下の候補者を功労賞の授与対象者および授与対象団体として理事会に推薦することを全会一致で決定しました.理事会での審議ののち,以下の3名/団体への功労賞授与が決定しました.

阿部愼太郎 氏,奄美哺乳類研究会,奄美マングースバスターズ
受賞の経緯

日本哺乳類学会奨励賞(第23回)

 第23回奨励賞の選考は,8名の選考委員で行いました.「哺乳類科学」65巻1号にて募集を行い,3月31日の締め切りまでに4名の応募を得ました.4月3日~4月30日にかけて各選考委員が書類審査を行い,その結果を集約した上で共有し,5月8日に全員参加でオンライン選考会議を行いました.
 いずれの応募者も,例年の基準と比べても十分な業績数・質を有しており,ハイレベルでの比較となりました.学会活動への貢献や学会誌への掲載実績,今後の哺乳類学会の発展に貢献する意欲についても評価が行われました.議論の結果,本年度の受賞者として2名を推薦し,理事会による承認を得ました.
 なお,本年度は応募者全員の評価が高く,選に漏れた2名については,僅差で選ばれなかっただけであり,決して評価が低かったわけではありません.今後のさらなる研究進展と再応募を期待します.また,規定では応募年齢制限を「おおむね40歳まで」,会員歴を「選考年度も含めて3年以上」としていますが,産休・育休や海外留学といったライフイベントなど個々の事情についてどこまで考慮するか慎重に検討すべきであるという議論がありました.

内田健太 氏
受賞の経緯
松本悠貴 氏
受賞の経緯

日本哺乳類学会論文賞(第17回)

 本年度の審査は昨年度の方法を踏襲し,各掲載論文の担当編集委員19名による1次審査,そして編集委員長を除くMammal Study主任編集委員5名による2次審査を通じた二段階審査を行いました.
 1次審査においては, Mammal Study 49巻に掲載された34論文の各担当編集委員に論文賞の候補となる論文についての投票の依頼を,2025年4月14日に2025年5月9日を期限として行いました.妥当性,新規性,一般性の3項目について,各項目5点を最高,1点を最低とする評点を依頼しました.依頼した19名全員から審査結果を受領し,1次審査において総得点12点以上(平均4点以上)を得た上位5本を2次審査対象論文としました.2次審査対象となった論文は原著論文,速報の論文種別,行動生態学,生物系統地理学,古生物学,空間利用の分野における論文が含まれました.対象分類群は,霊長目,齧歯目,食肉目,奇蹄目,偶蹄目,鯨目と多岐にわたっていました.
 2次審査においては,論文賞候補論文への投票(論文賞として相応しいと思う論文を理由を付して選択.複数の論文への投票も可としました.)を,2025年6月25日に同年7月10日を期限として主任編集委員に依頼しました.投票結果は,論文Aが3票,論文Bが3票,論文Cが1票,論文DとEが0票でした(各主任編集委員が自身の専門分野に近い論文に投票するバイアスがないかチェックを行いましたが,そういったバイアスは特に認められませんでした).なお,2次審査投票上位2編のうち,1次審査においては論文Aが1位(14点)であり,論文Bが2位(13点)でした.これら2編は1次審査および2次審査ともに選考委員からの評価理由が明確かつ納得できるものであり,日本哺乳類学会論文賞規定第4条の要件を十分に満たしていました.
 以上より,2025年度第17回日本哺乳類学会論文賞(Mammal Study Award 2025)候補として,次の2編の論文を推薦しました.

Hisaaki Toyoshima and Yoshikazu Sato (2024) Camera traps reveal variation in diel activity patterns among different sex-age classes in brown bears in Hokkaido. Mammal Study 49(4):359-370.
受賞の経緯
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Shintaro Ishizuka, Shohei Shibata, Eiji Inoue, Yoshi Kawamoto and Kunio Watanabe (2024) Comparative phylogeography of Japanese macaques (Macaca fuscata) and sika deer (Cervus nippon) on Shodoshima Island inferred by mitochondrial DNA analysis. Mammal Study 49(2):107-115.
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日本哺乳類学会優秀発表賞

 2025年度北海道大会において審査を行いました.審査結果は以下の通りです(*=発表者).

最優秀発表賞
柴田夏実*・梶 征一・角川雅俊・松石 隆
「定置網漁業によるネズミイルカ混獲とその軽減のための間隙通過可能性の推定」
優秀発表賞
東 哲平*・小林 峻
「長期モニタリングからみたケナガネズミの樹洞利用パターン」
松本拓馬*・小井土凛々子・黒江美紗子・中下留美子・遠藤 優・齋藤 剛・岸田拓士・西岡佑一郎・山本俊昭・瀧井暁子・泉山茂之・大西尚樹・津田吉晃
「景観遺伝的解析からみる信州伊那谷におけるツキノワグマの空間的遺伝構造」
山下純平*・角田裕志・江成広斗
「クマ鈴やラジオは野生動物との遭遇回避に有効か:捕獲圧の異なる地域における音声再生実験による評価」
池田悠吾*・諏訪友葵奈・大舘智志
「オオアシトガリネズミにおける冬期のサイズ縮小と頭骨形状の季節変化―デーネル現象の検証」
長谷川拓人*・若林郁夫・寺沢真琴・酒井麻衣
「飼育イロワケイルカにおける胸ビレ前縁部の鋸歯状構造」
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