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金治 佑氏

 1983年生まれ.2007年3月,東京大学農学生命科学研究科修士課程修了.2016年1月,東京大学より博士(農学)の学位を授与.独立行政法人水産総合研究センター(現水産研究・教育機構)研究員を経て,現在は国立研究法人水産研究・教育機構主任研究員.日本哺乳類学会には2008年から会員となり,2012年,2016年度大会において自由集会,2014年度大会において企画シンポジウムを共同企画者とともに開催,2008年から2017年までほとんどが筆頭発表者として,ほぼ毎年発表を行ってきた.また学会誌の査読を複数回にわたり行い,2013年以後保護管理専門委員会の海生哺乳類保護管理検討作業部会員として活動するなど,学会活動に貢献してきた.2015年のVth International Wildlife Management Congressにおいては,シンポジウム「Marine Mammal Managements: Methodologies and Case Studies by Their Application in Some Pinniped and Cetacean Populations」を共同企画者として開催している.
 金治氏は,初期には魚類生態学の研究を行っていたが,その後海獣類(鰭脚類および鯨類),特にマイルカ科鯨類を主な対象に,個体数の推定,生息地と生態系の評価,生息地利用様式の把握に精力的に取り組んでおり,また最近では,海外での長期滞在による鯨類の保全管理モデルの開発にも意欲的に取り組んでおり,長年にわたり継続的に業績を上げている.
 これらの研究成果は,大半が筆頭著者である17編の原著論文などとして,数多くが公表されている.また,国際学会での発表などの業績が44件と極めて多いことが高く評価される.また,研究成果の普及に力を入れている点も評価できる.今後もそうした活動をさらに充実させ,日本の哺乳類学や生態学の発展に寄与し,さらに国際的な研究活動を展開して,鯨類の管理という社会的課題に大きく貢献していくことが期待される.以上のように,金治氏のこれまでの業績とその将来性は日本哺乳類学会奨励賞に値するものである.

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