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細田徹治氏

 細田徹治氏は,東京農業大学農学部を卒業し,兵庫教育大学大学院修士課程学校教育研究科を修了した後,2012年までの38年間,和歌山県の高等学校で教鞭をとった.理科・生物の教諭として教壇に立つ他,高校生による部活動としてモグラ類の分布に関する研究を指導し,成果を収め,全国的な賞の受賞に至った.高校教育の激務の傍ら,細田氏自身は食肉目イタチ科の生態学および分子遺伝学に関する研究を進め,多くの論文を公表するとともに,その成果は国際展テン学会や国際哺乳類学会で高く評価された.調査の困難な食肉目哺乳類の研究分野を切り開いたパイオニアであり,日本の多くの食肉目研究者が研究を進めるための土台を築いた.海外も含めた研究ネットワークを構築し,若手の育成にも努めた.1975年に日本哺乳動物学会に入会して以来,活発な研究活動,教育活動を行うことで本学会の発展に貢献して来た.
 定年退職後も,氏のアクティビティーは下がることはなく,大学や専門学校,和歌山県の在野の研究者の育成をし続けるとともに,地域の自然環境や野生生物の保全に関わっている.細田氏の活動,自然への取り組みは将来研究者をめざす高校生のロールモデルともなったと考えられる.
 教育,研究,地域貢献を通じて,哺乳類学および日本哺乳類学会の発展に多大な寄与をしてきたことから日本哺乳類学会功労賞にふさわしいと判断した.

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