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吉行瑞子氏

 1932年生まれで,若くして国立科学博物館動物研究部に勤務され,今泉吉典博士(元哺乳動物学会会長)に師事された.また日本哺乳動物学会の創立から事務局員として,その発展に寄与されました.国立科学博物館動物研究部主任研究官から1992年に東京農業大学教授(短期大学部)に転任,1994年同大学農学部畜産学科に移動し1998年には同大学の畜産学科に野生動物学研究室開設され,教授として哺乳類研究と後進の育成に貢献されました.
 研究業績は主に分類学的研究で,多数の新種記載を行なっておられます.とくに学位論文になった日本産翼手類の分類体系は,その後の翼手類研究の基礎となり,翼手類研究の隆盛をもたらした業績として評価できるものです.また日本産コウモリのモノグラフの作成は一般の方々が「コウモリ」に関心をもつきっかけとして,重要な貢献と考えられます.国内ではクチバテングコウモリの記載,エチゴモグラの発見・記載など分類学で多くの業績を挙げられました.一方,海外調査では台湾での新種コウモリの記載を行なわれるとともに,台湾での翼手類の分類研究手法を普及させたことが特筆できます.後進の育成では,とくに女性哺乳類学者として先陣をきっていただいたことが,今日の女性研究者の増加に繋がっているといえるでしょう.また農大動物研究会の会長として「ANIMATE」の発刊,執筆を継続し,哺乳類学の草の根からの情報発信と発展に努めてられてきており,その地道な経歴は特別賞に値するものであります.

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